俺は気づくべきだった・・・・ でも・・・ こんな状況になっても俺はまだ絶望していない・・・ 時は12月25日。俗に言うクリスマスだ。 「準備はいい?」 ジャキッ!! 恵理奈が新品のM16A1を構える。 「そうだな・・・この日が来ることをどんなに待った事か・・・」 ローレスがM92のスライドを引き、チャンバー(薬室)に弾を送る。 「「すべては・・・この日の為に!!」 暗い部屋の中で二人は密かに、誓う。 2時間後・・・ 俺は二人に呼び出されていつものバーに行った。 (珍しいな・・・あの二人が仕事以外の用事で俺を呼び出すなんて) 俺がバーのドアを開けようと、ドアを引くが開かない。 (?鍵か?) 「おーい開けてくれ。竜条だ」 しばらくするとガチャリと音がして、鍵が開いた。 「入るぞー」 俺はドアを開け、電気の点いていないバーの中に入る。 入って数歩もしないうちに歩けなくなった。 「動くな。武器を捨てろ」 銃口の冷たく、硬い感触が俺のこめかみに伝わる。 「分かったよ。勘弁してくれ・・・」 俺はホルスターからM1911A1を抜き、目の前の床に投げ捨てる。 「他に武器は無いか?チェックさせてもらう」 革のブーツが床を叩く足音がして、二人目の人間が俺をボディーチェックする。 「何も無いわ。これでOKよローレス」 (ローレス!?何だ一体?) 疑問に思った瞬間に俺は突き飛ばされ、ドアから外に出される。 「おい!何のつもりだ!!開けろ!!」 俺はドアを叩きながら怒鳴る。 「今日が何の日か知ってるか?」 中からローレスの声が問う。 「お前、ローレスだな。もう一人は恵理奈か!」 「それは答えになってないぞ竜条。さぁ答えろ!」 俺は右手首に着けた腕時計を見る。 :12月25日:クリスマス: 時計のサブディスプレイにそう表示された。 「クリスマスだ。それがどうした!」 「今日はクリスマスパーティーをするのよ」 恵理奈が中から答える。 「何故、こんな真似を?」 「あなたに道具を買ってきて貰う為」 「そうだ、竜条、我々と一緒にクリスマスパーティーを楽しむ為にも近くの店に行ってパーティーグッズ等いろいろ買って来てくれ」 中から少し嬉しそうな感じで答えられる。 「金は?」 個人的に一番気になる単語を俺は口に出す。 「もちろん君の自腹だ」 何の事はない。といった感じでしれっとローレスが言う。 「自腹だと!!ふざけんな!!何が好きで大量の道具を自腹で買わなきゃならん!!」 とてつもない条件に俺は怒る。 「つまらない男・・・」 中からため息とともに恵理奈の声が聞こえ、次の瞬間には大量の弾丸がドアに撃ち込まれていた。 「なっ!!」 俺は全く反応できずただ、その場に立ち竦んだ。 弾が貫通し、ぼろぼろになった木製のドア。 「次は当てるわ」 中からこの状況下で一番有効なセリフを恵理奈が言う。 つまりこうだ、買ってこなければ殺る、と。 「分かった、行けばいいんだろ」 俺はドアに背中を向け、車に向かって走り出す。 一方バー店内。 「うまくいったわね」 恵理奈がスプライトの入った瓶を煽りながら言う。 「全くだ。今回のクリスマスパーティーは楽しくなりそうだ」 ローレスは相変わらずコカ・コーラを飲みながら言う。 「知ってる?コカ・コーラって昔、コカインが入ってたからコカって言うのよ。って事は中毒性がコカ・コーラにはあるって事よ。健康を考えて今からでも止めたら?」 「よしてくれ・・・コカ・コーラが不味くなる」 二人が向かっているカウンターテーブルの椅子の足元にはM16が置いてあり、威圧感を放っている。 そして、竜条。 そう、俺は哀れなピエロ・・・ 俺の哀しみは誰にも理解されない・・・ こんな状況で俺は満足してるのか・・・ 笑ってやがる・・・ 俺の中に居るもう一人の自分が笑ってやがる・・・ 冗談じゃねぇ・・・ 今夜だけのパーティー人々は今日をこう言う・・・ 「聖なる夜だと・・・」 そうさ・・・俺は・・・    それ以外の何者でもないのさ・・・ 「何だこれ?変なポエムだぜ」 俺は道端で拾った携帯ゲーム機の中で流れる文字を読んでいた。 (なんで、携帯ゲーム機が捨ててあるんだ?) 最初はもったいないと感じてた。 でも、今は・・・ (こんなゲームやってたら気が狂いそうだぜ) 俺は近くの植え込みの中にそのゲーム機を投げ捨てる。 投げ捨てられたそれは、植え込みに入り、そこで朽ち果てるのかと思いきや、植え込みを貫通し、植え込みの向こう側を歩いていた少年の足に当たる。 少年はそれを拾い、ラッキーだと言って、家に持ち帰る。 「いらっしゃいませ」 大型百貨店の自動ドアをくぐると伸びきったテープの音声が俺を迎える。 この店は、世界中に支店を持つ、大型店だったのだが、鎖国後、海外支店との連携は取れなくなり、その波紋が国内にも広がり各支店が独自の経営体制を築いた。 (その結果がこれか・・・) もの凄い数の商品棚の中を歩きながら俺は目当ての物を探す。 さて、竜条が買い物をしている間にこの店の紹介でもしましょう。 前略(というか、少し前に書いた内容) その結果、各支店毎の経営成績は今世紀最大とも言われる程の実績を挙げた。 さて、買い物も終わり、バーの前。 「ただいまー」 俺は大量の買い物袋を持って店内に入る。 「「おつかれー」」 パンパンッ!! 空砲弾が発射され、盛大な銃声が響く。 「ギャー!!」 銃声にびっくりして俺はその場で飛び上がる。 「うるさい!!何叫んでんのよ」 ゴスッ!! 恵理奈から繰り出された拳骨が俺のつむじに着弾する。 「わははははっ!!」 ローレスは俺の事を見て笑っている。 「ほら!!頼まれた物!!」 俺はローレスに大量の買い物袋の中の一つを突き出す。 「おおっ!!悪いな」 ローレスはそれを受け取り、カウンターの上に置き、セッティングする。 セッティング・・・つまり宴会の準備だ。 約一時間後 「さて、準備も終わったし宴会よ」 恵理奈は既にワインのボトルを片手に、椅子の上に足を組んで座り、こっちを見ている。 (残念、恵理奈の服装は常にカーゴパンツだ・・・) とりあえず俺は近くにあったSBビールの缶に手を伸ばすがその手が届く前にローレスがSBビールを持っていってしまう。 仕方ないので俺用にと、買っておいたMAXチューハイ(なんだそりゃ?)を飲む事にした。 そして更に一時間後・・・ 「そーなんだよもーさー」 M16とワインを持ってローレスと全く脈略の無い話をしている。 少し書いてみよう 「だーかーらーあたしゃ銃が嫌いなんだよー」 「俺さー昔レーサーに憧れててさー表彰台でシャンパンファイト見て家の中でコーラぶちまけて怒られたんだよ・・・なんであんな事したんだ?」 「最近のガキは何でもかんでも銃だ銃だって欲しがってよー銃は素人が使っても簡単に死人が出るけどナイフとかなら加減が出来るんだよ・・・juhdohhdasnae」 (後半はもはや何言ってるか分かりません) 「なんで鎖国なんだ?国のBOSSは訳わからんよ・・・」 そんな事を言っていきなり泣き出すローレス、M16をぶっ放しながら大笑いしてる恵理奈。 俺は机を盾にして、誰も使わないパーティーグッズと一人で戯れる。 (何でこんな事してんだ?) がちゃがちゃ・・・ 「あれっおかしいな中に人が居るのは確かなんだが・・・」 ドアの前に数人の人の気配、俺達は反射的に無言になった。(まあ約一名は泣き疲れて寝ているが・・・) 「あいてるよー」 店の奥から店主が出てきて鍵を開ける。 「おっサンキュー」 何時もの常連客の内の何人かが入って来た。新顔は居ないようだ。 一人が俺達を見つける。(まあ入った瞬間に分かるが・・・) 「よぅ!!恵理奈!!クリスマスパーテーか?」 パーティーがパーテーになってるのは愛嬌の一つだ。 「ん??なんだって聞こえねー」 そりゃそうだM16を耳あても無しでうちまくってりゃそうなる。 「だーかーらー!!クリスマスパーテーだろ!!」 かなり声を大きくして言ってやっと恵理奈に聞こえたようだ。 「おおぅそーだそーだおめーらもやるかー?」 酔っぱらって言葉遣いがおかしくなっているのはしょうがない。 「ああ、そうさせてもらうよ」 別の奴が答えて近くの椅子に座り、置いてあったSBビールを飲む。 さて、気になる二時間後・・・ 「銃ってのはセンスが必要なんだ使う為のセンスがな」 恵理奈と仲良く話す命知らずの男はストレートのウォッカを飲んでいる。 「ぐごー・・・もー飲めん・・・」 ローレスは完全に寝ている。 パシッ!! 「アウチ!!」 俺は額に着弾した物を見つける。 「BB弾?」 パパンッ!! さらに俺の周囲にBB弾が着弾する。 「くっ!!」 俺はさっきまで盾にしていたテーブルにまた隠れ、パーティーグッズの中にあった新橋シカク製の電動ブローバック式M92を取り出す。 大量のBB弾がテーブルに撃たれ、BB弾が跳ね返る音が響く。 (今だ!!) BB弾の発射される音が止んだ瞬間に俺はテーブルから体を出し、発砲する。 パシパシッ!! BB弾は狙いを逸れて恵理奈の頭に当たる。 「何しやがる!!ぶっ潰す!!」 恵理奈は案の定M16を構えて辺り構わずぶっ放す。 ギャー!!誰だ撃った奴は!!やめろー!!ああっ!!俺の酒が!! 混乱はバー全体に及んだ。これが後に言うクリスマス事件である。 パリンッ!! ライフル弾がワインボトルに着弾し、辺りにワインをぶちまける。 「行け!!負けるな!!」 既に俺にBB弾を当てた奴が仲間にエアガンを配布し、戦闘態勢を整える。 「こっちだ恵理奈!!」 俺は寝こけているローレスを担いでテーブルに戻りながら言う。 「おぅ!!」 恵理奈がBB弾の弾幕の中を駆け抜け、テーブルにやってくる。 「お前それ実弾か!?」 俺は応戦しながら聞く。 「いや、これはKWC製のエアマシンガンだ」 M16を見せながら得意げに話した。 「ところでよ、お前酔うと言葉遣いが男らしくなるな」 ガギィン!! BB弾が近くにあった鉄製の何かに着弾し、耳障りな音を奏でる。 「くそっ!!」 テーブルの陰からM92を出し、適当に乱射する。 しかし、牽制にもならない。 「突入!!」 敵がアサルトライフルを乱射しながらこちらに走ってくる。 それに気づかなかった俺達は一気に囲まれる。 「ゲームオーバーだな」 ジャキッ!! 敵の一人が俺にサイドアームズのSOCOM Mk23 LAM有りを構える。 (万事休すか・・・) そう思った瞬間にバーの管理人室のドアが蹴り開けられた。 「うるさい!!酒はもっと静かに呑みやがれ!!」 店主が手にSPAS12を構えて出てくる。 店の惨状を見て店主は息を大きく吸う。 「お前ら全員で掃除だ!!!終わるまで帰れないぞ!!!」 非常用なのか、どこかにあったスイッチを押して入り口を特殊シールドで閉鎖する。(あっ常盤って書いてある) その後俺達は店内が新品のようになるまで掃除させられた。(トホホ) 皆さん、クリスマスだからといってはしゃぎ過ぎないようにしましょう。 終わり あとがき えーとクリスマスverだというのにこれを書き終わったのは12月27日なわけでぜんぜんクリスマスじゃありませんでした。 本編はとりあえず鋭意製作中ですので適当に待っててください。 (あっ、げんしけん一挙放送がビデオに撮れねぇ・・・) では第二章のあとがきで会いましょう