『Chicken record of a war 〜チキン戦記〜(仮)』  第1章 「裏世界への介入」   第1話 「プロローグ」  2018年 9月25日 漏れは、いつものように軍の拠点で機密事項などの情報を整理していた。 ふとカレンダーを見ると今日は漏れの誕生日だった。 不意に、漏れはプレゼントのことで頭がいっぱいになった。 軍の大佐(自称)が最新機器を贈ると言っていたからだ。 本人曰く、まだ現場に送るかすら未定の最先端技術の結晶だそうだ。 銃撃戦をサポートするという噂だが、それ以上の詳細は聞かされていない。   ドン!! 「はう!!」 バキ!ボキ!ベキ!ゴックン!バリーン! 突然排気口からアタッシュケースが落ちて来たので、 反射的に口で銜えようとしてしまい、その結果歯が3本ほど消し飛んだ。 漏れは、口に溢れる真っ赤な液体のことなど忘れ、 アタッシュケースの中身を取り出した。 そこにあったのは、ただの鉄塊・・・いや、ただの鉄ではない。 硬さと弾力と分厚さを兼ね備えた、ケース(?)だろう。 「参ったな、これじゃどっかの工房でも乗っ取らんと中身が取れない。」 とりあえず、機密事項のバックアップディスクを本部に送る為、 漏れは何食わぬ顔で通路に出た。ちょうど食品業者の金好きの女と鉢合わせた。 (やばいな、機密情報が奪われるかも知れない。) そう思い、漏れはポケットのMk23を手で握った。 しかし、彼女は漏れの顔を見上げた瞬間、口を押さえ、 悲鳴を上げながら、最寄りのトイレに駆け込んだ。 うめき声と水を何度も流す音が聞こえた。 漏れは、何が起こったかもわからず、 「・・・・・フッ」 とだけ言い残して、スキップしながら中佐の部屋に行った。 コンコン・・・。 「・・・・・・・・入りたまえ。」 コンコン・・・。 「・・・・・・・・いたずらか?」 ドン!!バコ!!ドーン!! 漏れは、なんとなくドアを蹴破りなんとなく中佐の目の前になんとなく全力で走って行った。 が、そこで不覚にも顔面に中佐のフックを食らった。 異常な量の血が飛ぶのが見えた。 (ぐはっ・・・なんて威力だ。) 「何しやがる!えーと、・・・なんとか中佐!」 「・・・・・。」 中佐は何も言わずに漏れに鏡を向けた。 「・・・!」 漏れは、さっきから起こっていた奇妙な現象の原因を知った。 (そうだったのか。だが、口を拭くつもりは無い。) 「・・・・・あれ。」 中佐が指さした方向を見ると、吹き飛んだドアの破片が 不細工な顔が写った絵画に刺さって真っ二つに割れており、 その破片が別の絵画に刺さってそれも折れていた。これはフラグだ。 中佐は、何も言わずにポケットから電卓を取り出した。 漏れはすかさず、Mk23で電卓をはじき、メインコンピュータのつながった 中佐のコンピュータに弾丸を撃ち込み、椅子を中佐に投げ、 ダウンした隙に、その場を逃げ去った。その数秒後・・・。 「アッーーーーーーー!!」 一般の兵士達が中佐のぎっくり腰の信号を聞き取り、総動員で走って行った。 「ふぅ、危なかった。」 そんなことをいいながら監視室の前を見たら、気づいた。 「誰も居ない?皆、中佐の部屋か。まー、我が軍最大の拠点に攻める奴なんかいないよな。」 そう思い、その場を過ぎ去ろうとしたときだった。 プツン。 1個の監視カメラの映像が消えた。 「え?」 振り返ったら、次から次へと消えていく。 写ってる映像には異常が見られない。その時。 ドン!…プツン。 銃声も聞こえた。その時漏れは確信した。 「何者かが、襲撃しているな。・・・よし」 漏れは、すさまじい速度で非常口に走り出した。 荷物をもって走ってたのがバレタのか、 下級兵士に呼び止められ、事情を聞かれた。 「仕方ないな。特別に教えてやる・・・実は何者かにここが攻められてる。」 「は?馬鹿じゃね?警報鳴ってねーぞ。」 流石に、「漏れがメインコンピュータを止めた」とは言えなかった。 その下級兵士は二人いたが、片方がいい男だったので、 「とにかく、こっちについてきてくれ」 と言い、非常口の手前まで来たときだった。 非常口から何かがこっちに向かってきていた。 近づくと、それが黒い服の男だというのに気づいた。 「ん?誰だ、あいつ?何でここまで入れてるんだ?」 下級兵士がそういう直前から漏れは第6勘が働き、角を曲がって壁に張り付いた。 「おーい!ここに許可なく入るのは禁s・・・ぅあ」 ドドン! プスプスプス・・・。 漏れのすぐ隣に血にまみれたヘルメットが吹き飛んできた。 いい男も含め、下級兵士達は帰らぬ人となったようだ。 (銃声から考えて大型重火器・・・。) (あの距離で重火器を2発だけ撃ち、2人の頭を潰すなんて・・・何者なんだ?) (それにしても・・・彼(いい男)が死んだのは残念だ・・・・・。) 漏れは、手よりも頭よりも先に足が動くことに定評がある。 気づくと、中佐の部屋の手前まで来ていた。 雑魚A「おい、見ろよ。これ高そうだぜ。もらっとくか。」 雑魚B「俺なんか財布取れたぜ。中佐って結構金あるなぁ。」 中佐の秘書「なぁ、骨董品ももらっとこーぜ?」 ガチスパイ「いいなぁ、それ。根こそぎ盗むぞ!」 中佐は今度は部下達のリンチにより気絶したらしく、野次馬が溢れていた。 おそらくこの中は、100人以上の箱詰め状態なのだろう。恐るべし、親父狩り。 新しいドアが付いていたので漏れはそれを固定して中佐達を隔離することにした。 ガチスパイ「何だ?てめー。閉じ込める気かよ!」 絡まれたので仕方なく、閃光手榴弾を投げ込んだ。これで万事解決。 その後、隔離作業を終え、漏れはまた走り出した。 「生きててくれ・・・中佐以外!」 神に祈った。だが、自分で布教してる宗教だから意味は無いだろう。 漏れは、時間稼ぎの為に兵士に奴と戦わせるNiceIdeaを考え、排気口に大声で叫んだ。 「何者かが、基地内に侵入!彼女がいる兵士は奴を止めろぉ!!」 走る足音が少ししか聞こえなかったことに安心しながら漏れは他の出入口に走って行った。 漏れは銃声が聞こえる度に、言葉では表現できない程の達成感を感じていた。 ついに、他の出入口に到達した。しかし、非常口以外は電動式だったらしくまったく動かない。 しかも、張り紙には・・・ 「   コノドアハ、ミサイルガ当タッテモ耐エルコトガデキマス。     破壊活動ハ無駄ダ。通行ノ際ニハ電子モニターデ、      ロックヲ解除スルコトヲ推奨イタシマス。     当社ノ新型ガチホモセキュリティノ誤作動にゴ注意ヲ。                  マイクロゲイツ社    」 と書かれていた。 (非常口に戻るしかないか・・・マイクロゲイツ社はこわいこわい。) 警戒しながら、移動している内に漏れは考えた。 (待てよ。この拠点を他の軍が襲撃するなら破壊が目的だ。  だが、奴は一人だ。ということは情報屋に雇われた殺し屋辺りか?) 「つまり、奴の狙いは・・・コンピュータ内のデータか・・・。」 中佐のコンピュータは必然的に破壊した。ならば、漏れの違法改造コンピュータか。 しかし、あれは屑だ。起動だけで3日はかかる。今なら、非常口から逃げれる。 そう思い、漏れは全力で走った。非常口から差し込むシャバの光が見えた。 が、その光を遮るように上から黒い物体が落ちてきた。 (何?排気口で待ち伏せしてただと?ん?排気口から?・・・!!!) その瞬間、漏れの思考回路は光速で動き出した。 そして思い出す。最初を。・・・そう最初。 いきなり、排気口からアタッシュケースが!! バキ! 1本目の歯が折れる。 ボキ! 2本目の歯が抜ける。 ベキ! 3本目の歯が消し飛ぶ。 ゴックン! 消し飛んだ歯を飲み込む。 バリーン! 漏れのマザーボードが・・・落ちた。 そうだ。あの時に漏れの違法改造コンピューターもクラッシュしていたのだ。 (ということは・・・機密データは・・・・・このディスクだけか!!  ・・・・・・・・・・でも、何でそこまでコイツが知ってるんだ?) 漏れは奴の顔面に最後の閃光手榴弾を投げ、Mk23で威嚇射撃をしながら逃げた。 が、奴の武器から魔物が飛び出た。漏れにめがけて。 曲がる瞬間に宙返りをしたことによって頭には当たらなかったが、 その代わりに、たった一つの切り札の足を撃たれた。 (あ、やべっ。もう逃げれん。どーしよ?) 何を血迷ったか漏れは、排気口に大声で叫ん・・・でしまった。 「奴はここだぁー!!負け組も全員戦えー!!」 すると、もの凄いむさくるしい軍勢が走ってきた。非常に見苦しい光景だったと思う。 何故か、食品業者の金好き女もデザートイーグルと手榴弾を持って走ってきた・・・のが見えた。 漏れは気づいた。 (ん?こやつの標的は漏れか!!やばいな。殺される。) 弾切れのMk23を投げたら丁度腸の辺りに直撃した・・・はず。 すると、武器を捨ててまたすさまじい速度でトイレに走って行った・・・と思う。 漏れは、匍匐で進みデザートイーグルとグレネードを構えた・・・けどうまく狙えない。 味方はどんどん死に、辺りは血の海になっていた・・・かもしれない。 味方が下がり、十字路で挟み撃ちにする陣形になっていた・・・のかもわからない。 (あれなら、奴も生きてはいまい。助かった。) しかし、漏れのその予想は瞬く間に裏切られた。 奴は、サブマシンガンに持ち替えたらしく全発撃ちきり、全員を一瞬で蜂の巣にしてしまった・・・ように見えた。 自分も威嚇射撃を5発ほどしていたのでこれには驚いた。いや、味方に当たってたかもしれない。これは確信できる。 奴がこっちを向く直前に、漏れは排気口にグレネードを投げ込んだつもりだ。全力で。 (これで天井を崩すしかないな。うん。) が、グレネードは奴の真上の排気口から落ちてきた。 (あ、やべ!先にやられちまう。こうなったら・・・。) 「うおおおおおおぉぉぉ!!!」 漏れは最後の2発を撃った。もうヤケクソだった。 しかし、1発は重火器に当たったが。もう1発は奴の頭に当たった・・・ことを願う。 (よし、俺強くない?強いよね?うん、絶対。) ところが、煙が消えても奴は立っていた。 目は赤く、被弾箇所には金属が露出していた。 (やはり、人間ではない!?ロボットか!合体するの?合体するの?男のロマンだぜ!・・・<(^o^)>) 奴の重火器は銃口が潰れたから危険の為、使えない。 だが、奴はそれを握ったままゆっくり歩いてきた。 (はぁ、こりゃ最高の誕生日プレゼントだなぁ。) そんなことを考えながら、漏れは死の覚悟をした・・・が、内心は合体のことばかり(ry 奴は目の前に来ると、すさまじい速さで銃口を漏れの腹に突き刺した。 (うぐ!・・・もしかしたら、俺と合体・・・んなわけないか。) その後に振り回して叩きつけて、息の根を止めるつもりだったようだが、 デザートイーグルの弾が横から当たっていた為、銃口が折れ、 遠心力で窓ガラスを突き破り、漏れは海へと落ちていった・・・確かにオーシャンビューだった。 (死ぬかと思ったが、まだ意識はある。死にゃあせんだろぅ。誰かが助けに来てくれるだろう) そう思い、何とか手で水をかき、浮いていると上の窓から奴が覗いているのが見えた。 (奴が兵器だとしてもあの外見では陸戦専用だろう。気にすることはない。) そして、リラックスし始めていたときに・・・・・ あの巨大な重火器がだんだん近づいてくる・・・速い、落ちてくる…。 ヒュー・・・ドッボーン!! 「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」